【医師監修】包茎が原因で子宮に精子が届かない？【男性不妊の原因を解説】

包茎だからといって男性不妊になるわけではない

「包茎が不妊の原因」という話を聞いた事がある方はいるかもしれませんが、実際、包茎が原因で男性不妊になった例は非常に少ないです。日本人の3人に2人は包茎だといわれていますし、全体の約2％といわれている真性包茎の方でも、子供を持つ男性はいらっしゃいます。

そのため「包茎＝不妊」と結びつける事はありません。ただ、包茎であることによって生じるさまざまな結果が、間接的に妊娠の足止めになる事はあるようです。

不妊になる主な原因

妊娠は膣内で射精する事で、精子を卵子が受精した後、子宮で着床することで妊娠します。そのため十分な量の元気な精子を、腟内へ送る事ができるのであれば妊娠する可能性は十分あります。

不妊の症状として多いのは、精子の数が圧倒的に少ない「乏精子症」、精液の中に精子が見当たらない「無精子症」、元気な精子が少ない「精子無力症」、いざという時に十分に勃起しない「勃起障害（ED）」など。

その原因は「先天的な遺伝」や「幼少期の病気（おたふく風邪や高熱）」「タバコやお酒をはじめとした生活習慣や過度なストレス」であるケースがほとんどです。包茎が男性不妊の直接的な原因となることはほとんどありません。ただ、何も心配はいらないかといえばそういうわけでもありません。包茎である事で、間接的に妊活に影響がでるケースもあります。

包茎だとなぜ男性不妊になると言われるのか

衛生面

包茎が不妊の直接的な原因とならなくても、包茎によって不衛生な状態が続いたり、性病などにかかる事で不妊につながることがあります。

自分の手で亀頭を露出させる事ができる仮性包茎ならば、入浴時に恥垢などの汚れを洗い流す事ができますが、重度の仮性包茎や亀頭を露出させる事が難しい真性包茎などだと、亀頭と包皮の間に恥垢がたまりやすく、性病にもかかりやすくなります。

陰茎を清潔に保てない場合、勃起時に悪臭がしたり、性感染症（亀頭包皮炎、性器ヘルペス、尖形コンジローマ、性器クラミジア感染症、性器カンジダ症など）や、がん（陰茎・子宮）にかかる可能性が生じる事もあります。心配な方は包茎治療をする事で、陰茎を清潔に保てるようになり、これらのリスクを減らす事もできます。

性行為に積極的になれない

重度の仮性包茎、真性包茎やカントン包茎の方の中には、勃起したり挿入する事で痛みを感じる方もいらっしゃるかと思います。勃起時に包皮が圧迫されたり、突っ張ることで痛みを感じ、性行為がうまくいかない事は妊活において大きな弊害です。

そうなると当然、妊娠する機会も減ります。包茎手術でこれらの問題点が解決されれば、これまで以上に夜の営みにも積極的になれるかと思います。妊活を考えている方は包茎治療も、選択肢のひとつとして有効かと思います。

包皮が射精を邪魔する

妊娠する確率を上げるには、十分な量の精子を子宮の中へ届ける事が必要です。しかし、真性包茎で包皮が剥けていない状態で射精した場合、精子が包皮に邪魔をされ、子宮へ送られる精子の数が減ってしまう事もあります。そうなると妊娠する確率はそれだけ下がることに。

亀頭を露出させる事ができれば、包皮に絡めとられる精子も減るため、それだけ多くの精子を子宮に届ける事ができます。

包茎を手術することで妊娠しやすくなることもある

包茎だからといって、男性不妊になるというケースは多くはありません。自分で亀頭を露出させる事ができる仮性包茎の方はもちろん、真性包茎の方でも子供を授かる事はできます。包茎であっても、ペニスを清潔に保ち、十分な量の精子を子宮に送る事が大切です。妊活も工夫次第で、楽しみながら取り組む事もできるかと思います。

包茎は男性不妊の直接的な原因にはならないかもしれませんが、ただ、間接的に妊活そのものに影響することがあります。そのため、妊娠を望むのであれば包茎治療も妊活の選択肢のひとつとして参考にしていただければと思います。