はじめに
包茎だとなりやすい病気には、亀頭包皮炎や性感染症などがあります。これらは、包茎により亀頭や包皮の内側を清潔に保てないことが主な原因です。ほかにも早漏やED(勃起不全)を引き起こす可能性があるので、包茎は速やかに治療するのがおすすめです。本記事では、なりやすい病気の詳細と、包茎の治療方法について解説します。
包茎とは?
包茎には、下記の3種類があります。
- ・真性包茎
- ・仮性包茎
- ・嵌頓(かんとん)包茎
どの包茎も、通常時は亀頭が包皮に包まれている状態です。真性包茎は勃起時にも包皮をむくことが難しく、嵌頓包茎はむこうとすると強い痛みを伴います。仮性包茎は日本人に多い包茎で、勃起時には包皮をむいて亀頭を出すことができます。下記で、それぞれの包茎について状態やデメリットなどの詳細を解説します。
真性包茎
真性包茎は、通常時も勃起時も亀頭が包皮に覆われており、亀頭を出すことができない状態です。なかには、包皮と亀頭が癒着してしまっているケースもあります。真性包茎には、下記のようなデメリットがあります。
- ・亀頭を衛生的に保てず悪臭がする
- ・性感染症や炎症を引き起こしやすい
- ・早漏になりやすい
- ・短小や先細りになりやすい
- ・セックス時に痛みを感じる
真性包茎は勃起しても包皮をむくのが難しいので、入浴時に亀頭を洗いにくいです。それにより、性感染症や炎症などの病気を引き起こすリスクがあります。
仮性包茎
仮性包茎は、通常時には亀頭が包皮に覆われていますが、勃起すると包皮がむけて亀頭が露出する状態です。日本人男性の多くが仮性包茎と言われており、排せつやセックスなど日常生活に支障がないことがほとんどです。仮性包茎の原因は、勃起時のペニスよりも包皮が長いことです。仮性包茎のデメリットには、以下の内容が挙げられます。
- ・臭いが気になる
- ・陰毛が包皮に巻き込まれて痛みを生じる
- ・見た目にコンプレックスを感じる
- ・早漏になりやすい
- ・炎症を繰り返すと嵌頓包茎に移行する場合がある
日常生活に大きな支障はないものの、仮性包茎にもいくつかデメリットがあります。特に、包茎に共通して言えることとして、亀頭や包皮の内側を清潔に保ちにくいです。汗や尿などが固まってできる恥垢は細菌の温床になるので、炎症や性感染症を引き起こしかねません。
嵌頓(かんとん)包茎
嵌頓(かんとん)包茎は、包皮口(包皮輪)が狭く皮をむく際に強い締め付ける痛みを感じ、無理に皮をむくと元に戻せなくなる状態です。嵌頓包茎は日常生活にも痛みを伴うことが多いほか、包皮が亀頭下部を締め付けてもとに戻せないこともあり、その場合は亀頭が壊死してしまう恐れがあります。早急に手術したほうがよいでしょう。嵌頓包茎には、下記のようなデメリットがあります。
- ・セックス時や自慰行為時に強い痛みがある
- ・清潔さを維持できず臭いが気になる
- ・性感染症や炎症の恐れがある
- ・皮が戻せず亀頭下部を圧迫し、亀頭が壊死してしまう恐れがある
嵌頓包茎もほかの包茎と同様に、病気のリスクを伴っています。なお、包皮口や包皮輪を包茎口と記載していることもありますが、包皮口の表記の誤りです。
包茎の原因は
包茎の原因は先天性のもの、後天性のものがあります。下記に、包茎の種類ごとに原因をまとめました。
包茎の種類 | 原因 |
---|---|
真性包茎 | 先天性:生まれつき真性包茎の状態である(通常は成長過程で亀頭と包皮の癒着が解消されるが、されなかった場合) 後天性:亀頭包皮炎などの炎症が繰り返されて生じた亀頭と包皮の癒着 |
仮性包茎 | 包皮が陰茎よりも長いこと |
嵌頓(かんとん)包茎 | 無理に包皮をめくり、亀頭の根元が締め付けられ亀頭が膨らむことで包皮を元に戻せなくなること |
包茎だとなりやすい病気は?
包茎の状態だとなりやすい病気は、下記の4つです。
- ・亀頭包皮炎
- ・尿路感染症
- ・陰茎がん
- ・性病(性感染症)
包茎は、亀頭を清潔に保つことが難しく、さまざまな病気を発症するリスクを抱えています。下記では、病気の原因や症状など詳細を解説します。
亀頭包皮炎
亀頭包皮炎は、包茎の方がもっともなりやすい病気です。炎症の原因は、主に下記の3つです。
- ・こすりすぎや洗いすぎによる皮膚への強い刺激
- ・恥垢がたまり細菌に感染
- ・真菌感染
どれかひとつが原因の場合もあれば、複数が原因の場合もあります。
包皮があることで亀頭が洗いにくく清潔に保てず、恥垢がたまり細菌感染を起こすことが多いです。恥垢は汗や尿、精液などが混ざり、固まったものです。また、汚れを落とそうと強くこすると亀頭や包皮内部が傷ついてしまい、そこから細菌感染を起こす場合もあります。
亀頭包皮炎は亀頭や包皮に炎症が起こる状態で、亀頭が張れたり、赤みや膿、かゆみ、痛みなどを生じたりします。原因菌によってその症状は異なるため、クリニックを受診すれば原因を突き止めてくれるでしょう。子どもだけではなく大人も発症するので、油断は禁物です。真菌感染による亀頭包皮炎の場合は、疲れやストレスなどがたまり、免疫力が低下しているときにも起こります。通常、真菌は体内に侵入しても免疫作用がきちんと機能すれば炎症にはなりませんが、疲労やストレスなど、何らかの原因で免疫力が低下していると炎症を引き起こしてしまうのです。
亀頭包皮炎は原因によって、治療法が異なります。真菌感染であれば抗生物質や内服薬、カンジタであれば抗真菌薬を使用します。市販の塗り薬などで治せるのではと疑問に思う方もいるかもしれませんが、原因によって治療法が違うので、安易に市販薬に頼らないほうがよいでしょう。
亀頭炎はほかにも閉塞性乾燥性亀頭炎とよばれる症状があり、亀頭包皮炎が繰り返されると発症します。繰り返しの炎症により包皮と亀頭が癒着すると、包皮をめくったときに痛みや出血を伴い包皮をむくのが億劫になってしまいます。その状態が続き、真性包茎が慢性化して白く硬くなってしまうと発症するのが、閉塞性乾燥性亀頭炎です。
尿路感染症
尿道に細菌が入り込み、繁殖してしまうと尿路感染症を発症します。尿道は陰茎内部にあり、亀頭部分が出口になっています。したがって、恥垢などがたまり亀頭が清潔に保たれないと尿道にも細菌が侵入してしまう恐れがあるのです。尿路感染症は、腎盂(じんう)腎炎、膀胱炎、尿道炎の3つの総称でもあります。
炎症名 | 症状 |
---|---|
腎盂腎炎 | 40度近い高熱が出る、悪寒がする、腰やお腹の痛み、出血 |
膀胱炎 | 排尿時に痛みを感じる、頻尿や残尿感を覚える |
尿道炎 | 尿道口から膿が出る、尿意を感じやすい |
このうち、尿道炎の多くはセックスによる性感染症が原因と言われています。いずれも抗菌薬を服用し対応することになりますが、腎盂腎炎は症状がひどい場合、入院のケースもあります。速やかに医療機関を受診しましょう。
完治まで腎盂腎炎と尿道炎は1週間~2週間、膀胱炎は2日~3日かかるとされています。
陰茎がん
陰茎がんは、亀頭や包皮で発症する悪性の腫瘍です。60歳以上の方が発症する確率が高く、包茎以外にも、ヒトパピローマウイルスや喫煙が関与していると考えられています。包茎が原因とされている理由は陰茎がんを発症する方に包茎が多く、割礼の習慣がある人々には陰茎がんが少なかったことです。しかし、現在は包茎以外にも、ヒトパピローマウイルスによる性感染症が原因ではないかと考えられています。喫煙については、陰茎がんの発生率が非喫煙者よりも高いとされています。
症状としては、通常、痛みは伴わず、亀頭や包皮にカリフラワーのような腫瘤(しゅりゅう)ができます。
治療方法としては手術が基本ですが、陰茎の部分もしくは全体を切除する場合もあれば、症状の進行度合いによっては皮膚の切除のみで対応することもあります。
性病(性感染症)
性感染症(STD)は、性行為により感染する病気の総称です。原因は細菌やウイルスなど、多様です。包茎の場合、普段亀頭が包皮に覆われており、刺激に慣れていないためセックスなどで傷つき、傷口から細菌やウイルスなどが入り感染症を発症することがあります。亀頭だけではなく、包皮の内側も外側よりも薄く弱いため、傷つきやすくその分性感染症にも感染しやすいです。
性感染症には多くの種類があり、クラミジアや淋病、尖圭コンジローマなどが挙げられます。下表に、種類の一例と症状を記しておきます。
名称 | 症状 |
---|---|
クラミジア | 男性の場合は尿道炎にあたる。かゆみや膿が発生する。 |
淋病 | 排尿時に尿道に焼けるような痛みを感じる。 |
尖圭コンジローマ | 亀頭や陰茎部などにイボができる。 |
ヘルペス | ピリピリとした痛み、赤みと腫れが発生する。 |
カンジタ症 | 性器の皮膚炎や尿道炎を引き起こす。 |
性感染症と疑われる症状が出た場合は、医療機関を受診し、病名や原因の判断に努めましょう。
包茎によるその他の弊害
包茎による弊害は、性器周辺に現れる症状だけではありません。例えば、包茎はその見た目からコンプレックスを抱きやすいです。包茎であることで自信がなくなり、パートナーとのセックスだけではなく、恋愛そのものに積極的になれない場合もあります。包茎へのコンプレックスが、心因性のED(勃起不全)を誘発することもあるでしょう。 下記では、包茎による3つの弊害について解説します。
コンプレックスになる
包茎は、コンプレックスを抱きやすくなります。修学旅行などで友人と入浴し自分と他人のペニスを比較したり、パートナーから過去に付き合っていた人と比較されたりといったことで、包茎は格好悪いと感じるからです。包茎のコンプレックスは、下記のようなデメリットをもたらすでしょう。
- ・心因性の勃起不全になる
- ・セックスが億劫になる
- ・恋愛に自信が持てなくなる
- ・恋愛以外でも自信を無くしてしまう
後の項目で解説しますが、過度なコンプレックスは心的負担となり、勃起不全に繋がる恐れがあります。また、パートナーに見られたら恥ずかしい、からかわれるかもしれないといった理由からセックスや恋愛に消極的になってしまうでしょう。さらに、恋愛以外でもどうせ包茎だからと投げやりになってしまうことも考えられます。
早漏・勃起不全(ED)になりやすい
早漏や、勃起不全になりやすいという弊害もあります。包茎の方の亀頭は刺激に弱く、少しの刺激で射精してしまうことがあるからです。通常の射精は、性的刺激を脳が受け取り射精の準備が始まるため、時間を要します。しかし、包茎で過敏性の早漏になっている場合は、脊髄の射精中枢が反応し、挿入直後や少しの動きで射精してしまうのです。
また、勃起不全を引き起こすこともあり、これには先述したコンプレックスが原因のケースと、包茎によって物理的に勃起できないケースがあります。物理的要因の勃起不全とは、真性包茎や嵌頓(かんとん)包茎で、挿入時に痛みがあることで萎えてしまう状態です。仮に、挿入できたとしても動くことで痛みが生じることもあるでしょう。
自慰行為で射精をコントロールする練習をしたり、骨盤底筋を鍛えたりするなどで早漏を改善できることがあります。しかし勃起不全は自分で治療することが難しいため、原因となっている包茎を治療することが望ましいでしょう。
不衛生になりやすい
亀頭が包皮に常に覆われているため、亀頭と包皮の内側が不衛生になりやすいです。入浴時に皮をむいて丁寧に洗っていてもシワの間に恥垢が入ってしまったり、皮をむくと痛みが生じるので内側を洗えなかったりすることが原因です。亀頭や包皮内部の不衛生は、ここまで紹介してきたような亀頭包皮炎や、尿路感染症、性感染症などの病気を引き起こすリスクがあります。また、亀頭や包皮に汗や尿などがたまると悪臭も発生します。
包茎を治す方法とは
包茎を治す方法には、包茎手術と包皮翻転(ほんてん)指導を受ける方法の2種類があります。本項目では、包茎治療の相談場所と、治療の方法について解説します。
どこに相談すればよい?
包茎に関する相談場所は、下記の2つです。
- ・泌尿器科や形成外科などの病院
- ・包茎専門の美容クリニック
泌尿器科や形成外科のメリットは、保険診療をしてもらえることです。つまり、費用負担が少なくて済みます。一方で、包茎手術をした場合、あくまで病気の治療として考えているので見た目の美しさは二の次になってしまいます。傷跡やツートンカラーが目立ってしまう恐れがあるでしょう。また、軽度の包茎では保険適用にならないケースもあります。包茎そのものではなく、炎症などの病気を治療したいときは泌尿器科を受診しましょう。
一方、包茎専門の美容クリニックのメリットは、専門の医師が手術をしてくれるので機能面はもちろん、見た目にも配慮してくれることです。性感帯を残したり、色が不自然にならないようにしたりと細かい部分に気を配ってくれます。しかし、保険適用はない自費診療となるので、費用が高額になりやすいです。
包茎手術をする
包茎手術は、真性包茎、仮性包茎、嵌頓(かんとん)包茎すべてに適用できる治療方法です。基本的には余っている包皮を切除し、縫合します。手術方法は、大きく下記の3つに分かれます。
手術名 | 手術方法 |
---|---|
亀頭直下埋没法 | 亀頭直下で余っている包皮を切除し、縫合する。縫合痕が亀頭下に隠れるため目立たない。熟達した技術が必要。 |
環状切開法 | 陰茎中央をリング状にカットし、縫合する。泌尿器科でよく行われる手術で、傷跡が目立ちやすい。 |
根部切開法 | ペニスの根元部分を切開し、余った包皮を切除する。傷跡が陰毛に隠れるので目立ちにくい。ただし真性包茎・嵌頓包茎は受けられないことがある。 |
包茎の程度や種類によって手術方法は異なりますが、重要なのは手術後に傷跡が目立たないことと性感帯を切除しないことです。泌尿器科のように病気の治療として手術をする場合は、見た目や性感帯に配慮してくれることは少ないです。しかし、泌尿器科であっても審美性を重視してくれるところや、専門の美容クリニックであれば、きれいに仕上げてくれるでしょう。
下記では、包茎手術の必要性について解説しています。手術をしたいと考えていてもなかなか踏み切れない方は、ご覧ください。
関連リンク:【医師監修】包茎手術は何歳まで治療するべきか、手術の必要性について
包皮翻転指導を受ける
包皮翻転(ほんてん)指導とは、軟膏を使い包皮をめくる方法です。包皮先端にステロイド軟膏を塗り、包皮を柔らかくして少しずつ皮を根元に向かっておろします。ポイントはゆっくり行うことと、むいたら包皮を元に戻すことです。そのままにしておくと、嵌頓包茎に繋がる恐れがあります。実施頻度は毎日1回~2回で、医師に指導された一定期間続けます。この方法で包茎が改善しなかった場合は、手術で治療します。
メンズライフクリニックの包茎治療とは
メンズライフクリニックでは、30年の経験を持った包茎専門医による包茎手術を行っています。他クリニックの器具を使用した包茎手術とは違い、メンズライフクリニックは包茎専門医による完全ハンドメイド手術でお一人ひとりに合った治療で自然な仕上がりと痛みの少ない治療を実現します。
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メンズライフクリニックは、熟練の技術を誇る包茎専門医が包茎手術を担当いたしますので通常時はもちろん、勃起時のサイズも考えたうえで残すべき包皮の量を定めます。機能的にも外⾒的にも美しく仕上がるよう、慎重に⾒定めて切開線を決めてデザインを⾏います。包茎手術は⼀⽣に⼀度の治療で医師の技術力の差によって大きく結果が変わってきます。患者さまがご満足いただけるよう心がけていますのでお気軽にご相談をください。
まとめ
包茎だとなりやすい病気は、亀頭包皮炎や性感染症のほかに、早漏や勃起不全などが挙げられます。炎症や性感染症は、亀頭と包皮が清潔に保てないことが主な原因です。これらを解消するためには包茎の治療が有効であり、包茎手術がおすすめです。病状がある場合は泌尿器科にて病気を治し、そのあと包茎の治療をしましょう。包茎専門クリニックで包茎手術をすれば、機能性はそのままに見た目を美しく仕上げてくれるでしょう。