
はじめに
仮性包茎とは、勃起していない状態では亀頭が包皮に覆われていても、手で包皮を剥く、または勃起することで亀頭が露出する状態です。実は、生まれたばかりの男の子のほとんどは包皮が剥けません。成長と共に自然と剥けるようになるケースが大半で、必ずしも治療が必要なわけではありません。
今回は、この仮性包茎について、症状や治療の必要性などについて詳しく解説します。
包茎の種類と違い
包茎とは、陰茎亀頭を覆っている包皮が、何らかの原因で剥けなくなったり、剥けても亀頭が露出しない状態を指します。仮性包茎はこの包茎の一種ですが、ほかにも真性包茎やカントン包茎といった包茎の種類があります。
それぞれの違いを理解することは、適切な対応をするうえで重要です。まずは、包茎の種類と違いについてご紹介します。
分類 |
説明 |
亀頭の露出 |
仮性包茎 |
普段は包皮が亀頭を覆っているが、手で剥けば亀頭を露出させることができる状態。 |
可能 |
真性包茎 |
包皮の開口部が狭く、手で剥こうとしても亀頭を露出させることができない状態。 |
不可 |
カントン包茎 |
包皮は剥けるものの、亀頭の一部が常に包皮に覆われている状態。 |
一部のみ可能 |
包茎は大きく分けて上記の3種類に分類されます。
仮性包茎は、幼少期には多くの男性に見られる生理的な状態です。成長とともに自然と包皮が剥けるようになるケースが多くみられます。剥けにくい状態が続く場合や、衛生面での問題が生じる場合は治療を検討することもあります。
一方、真性包茎は包皮口が狭いため、自然に改善することは少なく、手術が必要となる場合がほとんどです。カントン包茎は、包皮が剥けても亀頭の一部が覆われたままの状態のため、炎症などを引き起こす可能性があり注意が必要です。
このように、包茎には種類があり、それぞれ症状や治療方針が異なります。仮性包茎はほかの包茎と比較して自然治癒する可能性が高いですが、自己判断せずに専門医に相談することが大切です。
仮性包茎とは?症状や治療の必要性
仮性包茎とは、勃起していない状態では亀頭が包皮に覆われていますが、手で包皮を剥く、あるいは勃起することで亀頭が現れる状態です。 思春期以降の男性の多くに見られる生理的な状態で、必ずしも病的なものではありません。ここでは、仮性包茎の具体的な症状や、治療の必要性の有無について解説します。
仮性包茎の症状
仮性包茎の症状は、包皮の状態や個人差によってさまざまです。痛みや炎症、性交痛などの症状が現れる場合もあります。下記の表は、仮性包茎で起こる可能性がある症状の例です。
症状 |
説明 |
---|---|
亀頭包皮炎 |
亀頭と包皮の間に汚れがたまり、炎症を起こす。 痛みやかゆみ、膿が出るなどの症状が現れる。 |
痛み |
包皮が剥けないことによる痛みや、無理に剥こうとした際の痛み、亀頭と包皮の間の摩擦による痛みなどがある。 また、勃起時に亀頭が締め付けられて痛みを感じたりする。 |
出血 |
包皮を無理に剥くことで、亀頭や包皮から出血することがある。 |
狭窄環 |
包皮の先端が狭くなっており、勃起時に亀頭を締め付ける。 痛みを伴い、亀頭に血液が滞留して腫れてしまう場合もある。 |
包皮のむくみ |
包皮を無理に引っ張ったり、炎症を起こしたりすることで、包皮がむくんでしまう。 |
性交痛 |
包皮が突っ張ることによる痛み、亀頭と包皮の間の摩擦による痛みなどが性交時に起こることがある。 |
排尿困難 |
包皮の開口部が狭いため、尿の勢いが弱くなったり、 |
異物感 |
包皮が常に亀頭を覆っているため、異物感を感じる場合がある。 |
これらの症状は、必ずしもすべての人に現れるわけではありません。また、仮性包茎であっても無症状の場合もあります。しかし、上記のような症状が現れた場合は、放置せずに医療機関を受診することが大切です。特に、痛みや炎症、出血などの症状がある場合は、早急に専門医の診察を受けるようにしましょう。日常生活に支障がない程度の軽度の症状であっても、衛生面や性生活への影響が懸念される場合は、医師に相談することをおすすめします。
仮性包茎は治療が必要?
仮性包茎は、無症状のケースもあり必ずしも治療が必要なわけではありません。しかし、日常生活や性生活に支障が出る場合は、一度治療を検討しましょう。適切な治療を行うことで、さまざまなメリットが得られます。
一方で、治療にはデメリットも伴うため、メリット・デメリットを理解したうえで治療の必要性や治療内容を判断することが重要です。
仮性包茎を放置した場合のリスク
仮性包茎を放置すると、衛生面や性生活に悪影響を及ぼす可能性があります。放置した場合に起こり得るリスクは、下記のとおりです。
リスク |
詳細 |
感染症 |
細菌や真菌が繁殖し、亀頭包皮炎などを引き起こす可能性があります。 |
悪臭 |
汚れが溜まることで不快な臭いを発することがあります。 |
性交痛 |
包皮が引っ張られることで痛みを感じることがあります。 |
性感染症 |
感染症にかかりやすくなる可能性があります。 |
パートナーへの感染 |
性行為によってパートナーに感染症をうつしてしまう可能性があります。 |
亀頭癌のリスク増加 |
長期間の炎症が亀頭癌のリスクを高める可能性があるという報告もあります。 |
特に、包皮垢が溜まりやすい方は注意が必要です。包皮垢とは、包皮の内側に分泌される皮脂や古い角質などが混ざり合ってできた白い塊のことです。放置すると炎症の原因となります。また、性行為の際に痛みを感じたり、包皮が裂けて出血したりする可能性もあります。パートナーへの感染リスクも高まるため、適切なケアが必要です。
仮性包茎は放置せずに、清潔を保つように心がけましょう。症状が気になる場合は、医療機関への相談も検討してください。
仮性包茎のよくある誤解
仮性包茎について、間違った認識を持たれているケースも少なくありません。よくある誤解として下記が挙げられます。
- ・仮性包茎は病気である
- ・仮性包茎は必ず治療が必要である
- ・包皮が剥ければ仮性包茎ではない
- ・大人になったら自然に治る
- ・セルフケアは危険である
上記はすべて誤りです。これらの誤解について、表にまとめたうえでそれぞれ解説します。
仮性包茎に関する誤解 |
真実 |
仮性包茎は病気である |
病気ではなく、正常な発育段階の一つです。 |
仮性包茎は必ず治療が必要である |
必ずしも治療は必要ありません。 日常生活に支障がなければ、経過観察で問題ありません。 |
包皮が剥ければ仮性包茎ではない |
包皮が剥ける場合でも、痛みや炎症を伴う場合は仮性包茎の可能性があります。 |
大人になったら自然に治る |
大人になっても自然に治らないケースもあります。 |
セルフケアは危険である |
正しい方法で行えば、セルフケアは有効な手段です。ただし、無理に剥こうとすると炎症を起こす可能性があるので注意が必要です。 |
特に、無理に包皮を剥こうとするのは危険です。かえって炎症や痛みを引き起こし、包茎を悪化させる可能性があります。自己判断せず、医師に相談することが大切です。思春期を迎えると、自然に剥けるようになるケースも多いので、過度に心配する必要はありません。
仮性包茎は必ずしも治療が必要な状態ではないことを理解し、適切な対応をするようにしましょう。まずは、正しい知識を持つことが重要です。
仮性包茎の治療法について
仮性包茎の治療法には、症状に合わせていくつか選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分に合った方法を選択することが大切です。ここでは、仮性包茎の治療法や手術について詳しくご紹介します。
仮性包茎の治療法とメリット・デメリット
仮性包茎の治療には、主にセルフケア、ステロイド軟膏の使用、手術療法があり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。どのような治療法を選択するかは、症状の程度や生活への影響、そして患者さん自身の希望などを考慮して決定します。
治療法 |
メリット |
デメリット |
セルフケア (包皮剥き、清潔保持など) |
|
|
ステロイド軟膏 |
|
|
手術療法 |
|
|
包皮を優しく剥く、清潔を保持するなどのセルフケアは費用がかからず、体にメスを入れる必要がないため身体的負担が少ないというメリットがあります。しかし、効果が確実ではなく、時間がかかるデメリットもあります。また、自己流で行うと亀頭包皮炎などの炎症を引き起こすリスクがあり、医師の指導を受けることが重要です。
一方、手術療法は根本的な解決につながり、清潔保持が容易になります。また、包茎の見た目へのコンプレックスを解消できる点も大きなメリットです。しかし、手術には費用がかかり、身体的負担も伴います。術後の痛みや腫れ、まれに合併症が起こる可能性もあるため、医師とよく相談し、メリットとデメリットを理解したうえで手術を受けるかどうかを判断する必要があります。
仮性包茎の手術と注意点
仮性包茎の手術は比較的小さな手術ではありますが、安心して手術を受けるためにはいくつかの注意点があります。以下は、仮性包茎で行う主な手術の術式です。
手術法 |
説明 |
ダウンタイム |
包皮環状切除術 |
包皮を環状に切除する方法 |
1~2週間 |
背側包皮切開術 |
包皮の背側を切開する方法 |
1~2週間 |
手術療法は、短期間で確実に治療できますが、術式や費用、ダウンタイムを考慮する必要があります。それぞれのメリット・デメリットを医師とよく相談し、最適な治療法を選択しましょう。
また、手術が決まると術前・術後は医師の指示に従ったケアが必要となります。詳細は以下の表を参考にしてください。
内容 |
|
術前 |
陰部の清潔保持、手術当日はゆったりとした服装を |
術後 |
傷口のケア、シャワー・入浴の制限、激しい運動・性行為の制限 |
手術日が決まったら、陰部の清潔を保ちましょう。炎症や感染がある場合、手術ができない可能性があります。また、手術当日は患部を締め付けないゆったりとした服装で来院するようにしましょう。
手術後は、傷口の感染を防ぐために適切なケアが必要です。シャワーは翌日以降可能となる場合が多いですが、入浴は傷口が完全に治癒するまで避けましょう。また、激しい運動や性行為も一定期間控える必要があります。
手術を受けるクリニック選びのポイント
手術を受けるクリニックを選ぶ際には、以下の点を考慮しましょう。適切なクリニック選びや、手術前後のケアをしっかり行うことで、合併症のリスクを最小限に抑え、スムーズな回復が見込めます。
-
・経験豊富な医師がいるか
仮性包茎手術の実績が豊富な医師を選ぶことが重要です。 -
・設備が整っているか
清潔で最新の設備が整っているクリニックを選びましょう。 -
・カウンセリングが丁寧か
手術に関する疑問や不安に丁寧に答えてくれるクリニックを選びましょう。 -
・費用が明確か
手術費用やアフターケアの費用について、事前に明確な説明があるか確認しましょう。
これらのポイントを参考に、複数のクリニックを比較検討することをおすすめします。
手術に関するよくある質問
包茎手術に関するよくある質問をまとめました。
質問 |
回答 |
痛みはありますか? |
手術中は麻酔を使用するため痛みはありません。術後には多少の痛みや腫れが生じる場合がありますが、通常は数日で治まります。 |
傷跡は残りますか? |
包茎手術は切開と縫合を行うため傷跡が残ります。手術の方法によっては傷跡が目立たない場合もあります。医師に相談して最適な方法を選びましょう。 |
費用はどのくらいかかりますか? |
包茎手術は保険適用外となるケースがほとんどです。費用はクリニックによって異なりますので、事前に確認しておきましょう。 |
これらの内容を参考に、医師とよく相談しながら治療方法を検討するとよいでしょう。
まとめ
仮性包茎は、思春期以降の男性によく見られる症状です。包皮が剥けて亀頭が露出しない状態でも、痛みや炎症などの症状がなく、日常生活に支障がなければ、必ずしも治療が必要というわけではありません。
しかし、衛生面や性生活に不安を感じている場合は、治療を検討してみるのもよいでしょう。仮性包茎の治療法には、包皮剥離やステロイド軟膏の使用、手術などがあります。ご自身の症状やライフスタイルに合わせて、医師と相談しながら最適な治療法を選択することが大切です。
仮性包茎で悩んでいる方は、決して一人で抱え込まず、専門医に相談することをおすすめします。きっと、あなたに合った解決策が見つかるはずです。
監修医師

医療顧問
奥村 康之 医師
経歴
和歌山県立医科大学医学部卒業後大阪大学医学部附属病院にて麻酔科、形成外科研修医勤務 藤田保健衛生大学附属病院 形成外科所属
大手メンズクリニック、美容クリニック勤務
AGAスキンクリニック名古屋院の院長就任
医療法人社団真美会理事長に就任
メンズライフクリニック医療顧問に就任
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